专利摘要:
MUC1(DF3、CD227、エピシアリン、PEM)は、通常は腺上皮の頂端膜側表面上に多量に発現する、重度にO-グリコシル化された>300 kDaのヘテロ二量体タンパク質である。MUC1模倣ペプチドは、全身投与後に乳腺腫瘍、結腸、および皮膚において選択的に保持される。さらに、MUC1模倣ペプチドによって腫瘍の発生が減少する。加えて、補助状況において、すなわち外科手術後に、MUC1模倣ペプチドを、他の抗EGFR処置と併用することができる。
公开号:JP2011512415A
申请号:JP2010547751
申请日:2009-02-19
公开日:2011-04-21
发明作者:ジョイス;エー. シュロエダー
申请人:アリゾナ バイオメディカル リサーチ コミッション;
IPC主号:A61K38-00
专利说明:

[0001] 本出願は、米国立癌研究所助成金5R01CA102113による資金を用いてなされたものである。したがって、米国政府は本発明において一定の権利を保持する。]
[0002] 発明の技術分野
本発明は、癌の治療学および予防学の分野に関する。特に本発明は、癌の発生、増殖、および浸潤のリスクを阻害する、遅延させる、および軽減する方法に関する。]
背景技術

[0003] 発明の背景
MUC1(DF3、CD227、エピシアリン、PEM)は、通常は腺上皮の頂端膜側表面上に多量に発現する、重度にO-グリコシル化された>300 kDaのヘテロ二量体タンパク質である。ヒトの乳癌および乳房転移の90%超においては、頂端膜側局在性が失われ、MUC1は(10倍を超えて)過剰発現しかつグリコシル化不十分である(1、2)。調節解除されたMUC1発現は、肺、膵臓、卵巣、および前立腺の癌を含むその他の多くの種類の腺癌でも見られ、さらに、白血病、骨髄腫、およびリンパ腫において高発現している(3〜5)。遺伝的マウスモデルおよび細胞株モデルの両方における研究から、MUC1が癌遺伝子であることが実証された。マウス乳腺に対してMUC1(ヒト)過剰発現を駆動するトランスジェニックマウスモデル(MMTV-MUC1)において乳癌発症がもたらされ、かつこれに伴い、乳腺はアポトーシスを介した完全な泌乳後退縮を受けることができない(6)。3Y1線維芽細胞にMUC1をトランスフェクションすると、それらの形質転換が誘導され、また結腸癌細胞に対するMUC1のトランスフェクションから、MUC1の過剰発現が薬剤誘発性アポトーシスを阻害することが実証されている(7)。]
[0004] MUC1の細胞質ドメインは複数タンパク質相互作用のための部位を含むが、MUC1の結合パートナーは典型的に側底膜上に見出されるため、正常乳房の極性化上皮ではこれらの相互作用はほとんど形成されない((8)および(9、10)に概説される)。癌の進行中に細胞の極性化が失われると、MUC1が過剰発現し、とりわけsrc、GSK3β、上皮増殖因子受容体(EGFR)、およびβ-カテニンと機能的に相互作用する(9、11、12)。MUC1とこれらのタンパク質との間の相互作用の部位は、MUC1の72アミノ酸細胞質尾部内の異なるドメインに位置している(11、13〜15)。EGFRおよびsrcはいずれもYEKVモチーフにおいてMUC1をリン酸化することができ、このリン酸化により、SAGNGGSSLSドメインを介したβ-カテニンに対するMUC1の結合が増加する(11)。最近の証拠から、MUC1とEGFRとの間の相互作用はEGFR生物学を有意に調節し、EGFR依存性形質転換をもたらし得ることが実証されている{Pochampalli, 2007 #537;Pochampalli, 2007 #527}。]
[0005] チロシンキナーゼの上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーは、癌において調節解除されている場合が多く、浸潤癌において通常は増幅されかつ/または過剰発現する[(16)に概説される]。このファミリーは、4つの相同的な1型チロシンキナーゼ受容体(EGFR、her2/neu/erbB2、erbB3、およびerbB4を含む)および複数の関連リガンド[とりわけ上皮増殖因子(EGF)およびトランスフォーミング増殖因子α(TGFα)を含む]からなる。リガンド誘発性の受容体ホモ二量体化またはヘテロ二量体化により、細胞質ドメインにおいて、チロシンキナーゼ活性化およびチロシン残基のトランスリン酸化が起こる。これによって、Src、PI 3-キナーゼ、Shc、PLCγ、STAT、Grb2、およびcblを含む種々のエフェクタータンパク質の動員が生じ、増殖、遊走、アポトーシスの阻害、分化、または飲食作用で取り込まれた受容体の分解が起こる(17〜20)。]
[0006] ヒト乳癌細胞株およびMUC1を過剰発現するトランスジェニックマウス(MMTV-MUC1)の両方において、MUC1とEGFRが生化学的に相互作用し、泌乳期中にEGF依存性p42/44ERK活性化の増強が起こることが確証された(11、21)。MUC1発現は、EGFRの内部移行および再利用を強化する一方でEGFRのリガンド媒介性ユビキチン化および分解を阻害することが、本発明者らの研究室により最近実証された(Pochampalli et al 2007)。形質転換におけるMuc1の役割を評価するため、本発明者らはさらに、Muc1ヌルのバックグラウンドにおいてWAP-TGFαマウスを作製し、これにより、Muc1発現が、乳房のTGFα依存性形質転換に優性効果を及ぼし、発症および進行の両方を促進することが明らかになった(Pochampalli et al 2007b)。]
[0007] EGFRがMUC1発現によって強力に調節されることが確証される一方で、トランスジェニックマウスモデルにより、細胞接着タンパク質であるβ-カテニンもまたEGFRおよびMUC1シグナル伝達に関連づけられた。WAP-TGFαトランスジェニックモデルの研究において、Wnt1およびWnt3は、最も侵襲性の高い乳房腫瘍において選択的に活性化されることが見出された(22)。Wntは、膜貫通frizzled受容体と結合して、その結果、β-カテニン分解の機構を不活化しかつ形質転換を引き起こすシグナル伝達カスケードを生じる、分泌性糖タンパク質である(23〜28)。加えて、MMTV-Wnt1トランスジェニックマウスにおいて、EGFRが、腫瘍特異的様式でβ-カテニンと相互作用しこれをリン酸化することが見出された(Schroeder et al 2002)。これらの研究から、β-カテニンおよびEGFRがそれぞれの経路に影響を及ぼして、形質転換を促進し得ることが実証される。最後に、MUC1もまたβ-カテニン依存性形質転換に関連づけられ、このことは、これら3つのタンパク質が癌の進行を協同的に促進する能力を有することを示すものである。Muc1ヌルのバックグラウンドと交配させたMMTV-Wnt-1トランスジェニックマウスモデルにおいて、Muc1の喪失は腫瘍進行の有意な減少に相当する(Schroeder et al, 2003)。加えて、MUC1とβ-カテニンとの間の相互作用が、ヒト転移性乳房腫瘍の試料において高度に増加していることが見出され、これらの相互作用が臨床的に関連していることが示される(Schroeder et al 2003)。]
[0008] まとめると、MUC1、EGFR、およびβ-カテニンは、形質転換および転移の際のそれらの著しい同時上方制御を含め、形質転換の際に互いに影響を及ぼし合っているという強い可能性が、これらの研究から実証されている。MUC1は、EGFRの下方制御を阻害することができかつEGFRおよびβ-カテニン両方の形質転換能を促進することができ、遺伝学的に誘導されたマウスモデルにより、MUC1は、EGFR依存性およびβ-カテニン依存性両方の形質転換および転移に関連づけられている。興味深いことに、EGFRおよびβ-カテニンの両方に対するMUC1上の相互作用部位は、MUC1細胞質ドメイン上にタンデムに位置する。]
[0009] 当技術分野において、癌の予防および治療に効果的である処置を開発する必要性が、引き続き存在する。]
[0010] 1つの局面によると、構造A-B-CまたはC-B-Aを有する融合ペプチドを、癌リスクの上昇が確認されたヒトに投与する。それにより、該癌発生の確率が低下する。Aは、細胞膜を介した付着高分子の移行を増強するタンパク質伝達ドメインである。Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーである。Cは、6〜15アミノ酸残基のポリペプチドである。Cは、

のすべてまたは一部を含む。Cの一部は、GGSSLS(SEQID NO: 2)を含む。あるいは、該6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つは、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、もしくは非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、もしくは酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されているか、または該6〜15アミノ酸残基の1つはA残基と置換されている。]
[0011] 別の局面によると、構造A-B-CまたはC-B-Aを有する融合ペプチドおよびEGFR阻害剤を、腫瘍を切除したヒトに投与する。それにより、該腫瘍の再発または転移の確率が低下する。Aは、細胞膜を介した付着高分子の移行を増強するタンパク質伝達ドメインである。Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーである。Cは、6〜15アミノ酸残基のポリペプチドである。Cは、

のすべてまたは一部を含む。Cの一部は、GGSSLS(SEQID NO: 2)を含む。あるいは、該6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つは、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、もしくは非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、もしくは酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されているか、または該6〜15アミノ酸残基の1つはA残基と置換されている。]
[0012] さらに別の局面によると、構造A-B-CまたはC-B-Aを有する融合ペプチドを、結腸癌または皮膚癌の患者に投与する。それにより、癌の侵襲性または増殖が低下するかまたは遅延する。Aは、細胞膜を介した付着高分子の移行を増強するタンパク質伝達ドメインである。Bは、0〜5アミノ酸残基のスペーサーである。Cは、6〜15アミノ酸残基のポリペプチドである。Cは、

のすべてまたは一部を含む。Cの一部は、GGSSLS(SEQID NO: 2)を含む。あるいは、該6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つは、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、もしくは非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、もしくは酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されているか、または該6〜15アミノ酸残基の1つはA残基と置換されている。]
[0013] 本明細書を読んだ際に当業者に明らかになると考えられるこれらおよびその他の局面は、癌を治療または予防するための新規方法を当技術分野に提供するものである。]
図面の簡単な説明

[0014] MUC1模倣ペプチド(PMIP)は細胞に効率的に侵入でき、EGFR分解を促進でき、かつMUC1とβ-カテニンとの相互作用を阻害できる。(図1a) EGFR/srcリン酸化部位(下線;SEQID NO: 15、残基46〜49)およびβ-カテニン結合部位(二重下線;SEQ ID NO: 15、残基50〜59)を含む、ヒトMUC1の細胞質アミノ酸配列(MUC1CT;SEQ ID NO: 15)。PTD4タンパク質伝達ドメイン(SEQ ID NO: 16)により、PMIP模倣ペプチド(ヒトPMIP(hPMIP;SEQ ID NO:17)およびマウスPMIP(msPMIP;SEQ ID NO:18)の細胞取り込みが可能になる。緑色の四角は、MUC1模倣アミノ酸配列を強調するものである。(図1b) 10μMビオチン-hPMIPによるBT-20乳癌細胞の4時間の処理により、hPMIPの効率的な細胞取り込みおよび保持が実証される(緑色=ビオチン-PMIP、および青色=DAPI(核)、400×および630×)。(図1c) BT-20乳癌細胞を、hPMIP(10μM)またはPTD4(10μM)のいずれかで18時間処理した。細胞をEGF存在下(30' EGF、10 ng/ml)または非存在下(-S、無血清)で処理し、タンパク質溶解物を作製し、SDS-PAGEで分離した。溶解物を、EGFR(1005)およびβ-アクチン(AC-15)について免疫ブロット(IB)した。(図1d〜f)MDA-MB-468細胞を、EGF(10 ng/ml)と、(図1d)hPMIP(10μM)、(図1e)PTD4(10μM)、または(図1f)PBSのいずれかとで一晩処理した。細胞を固定し、MUC1(テキサスレッド)およびβ-カテニン(FITC)について探索し、共焦点顕微鏡で調べた(400×)。Image Pro Plusを用いて共局在(矢印)解析を行い、白色ピクセルで示した。
PMIPは、インビトロにおいて乳癌細胞の細胞増殖および浸潤を阻害する。(図2a) BT20細胞を96ウェルディッシュで培養し(細胞104個/ウェル)、RPMI 1640/1% FBS中のhPMIP(10μM)またはPTD4(10μM)のいずれかで、6日間にわたり毎日処理した。MTTアッセイを行って、処理が完了した後の細胞数を定量した(***、p<0.0001)。エラーバーは標準誤差を示す。(図2b) MDA-MB-231細胞株および(図2c) BT20細胞株をhPMIP(50μM)、PTD4(50μM)、またはPBSのいずれかで一晩処理し、カルセインAMで標識し、トランスウェル(8.0μM)挿入物を通してI型コラーゲンゲル中に浸潤させ、浸潤した細胞を蛍光で測定した。(ANOVA、*p<0.0001、** p<0.0001、#p=0.007、##p=0.007)。エラーバーは標準偏差を示す。
PMIPは、インビボにおいて腫瘍の増殖および再発を有意に阻害する。(図3a)マトリゲル中のMDA-MB-231細胞をscidマウスの乳房脂肪体に注射し、腫瘍が100 mm3に到達した時点で毎日のペプチド処置(50μg/g体重のhPMIPまたはPTD4)を開始し(PTD4およびhPMIP n=8)、原発腫瘍の増殖を評価した(*、p=0.028)。(図3b) 処置の終了後、腫瘍が1000 mm3にまで進行するのに要した時間を測定した(ANOVA、**、p=0.03)。(図3c)切除後、マウスを原発部位または二次乳腺における腫瘍の再増殖について観察した(PTD4 n=8、およびhPMIP n=7)。(図3d) マトリゲル中のMDA-MB-231細胞をscidマウスの乳房脂肪体に注射し、腫瘍が500 mm3に到達した時点で毎日のペプチド処置(50μg/gのhPMIPまたはPTD4)を開始し(PTD4 n=4、およびhPMIP n=6)、原発腫瘍の増殖を評価した。(図3e) 21日間の処置後、腫瘍を直ちに切除し、原発部位における、および二次乳腺に拡大した腫瘍の再増殖をモニターした(PTD4 n=4、およびhPMIP n=4)。エラーバーは標準誤差を示す。
PMIPは、MMTV-pyV mT誘発性の乳腺腫瘍の進行を有意に遅延させる。(図4a) MMTV-pyV mTトランスジェニックマウスにFITC-msPMIP(50μg/g体重)を注射し、4時間後に屠殺し、蛍光顕微鏡を用いて種々の組織を可視化した。マウス乳腺腫瘍内のFITC-msPMIP局在を示す(2.5×および8×)。(図4b) 乳腺腫瘍(直径>0.5 cm)を発生させ、マウスにmsPMIP(マウス7匹)またはPTD4(マウス6匹)のいずれかを毎日注射した(50μg/g体重、処置21日間、腹腔内注射、1日1回)。処置の終了時に動物を屠殺し、後の解析のために腫瘍からタンパク質溶解物を作製した。処置過程において、全腫瘍部位(msPMIP n=70、PTD4 n=60)の総腫瘍増殖は、msPMIP処置マウスではPTD4マウスよりも有意に低かった(193.8%±77.7% 対 589.5%±283.6%、*ANOVA p=0.039)。(図4c) msPMIP処置マウスの乳腺腫瘍は、PTD4処置腫瘍よりも有意に遅い速度で増殖した(ANOVA、p=0.0076)。(図4d) msPMIPまたはPTD4で処置したトランスジェニックマウスの腫瘍サイズ分布から、msPMIP処置腫瘍の27%(可能性のある腫瘍部位70のうち19)と比較して、PTD4処置腫瘍の47%(可能性のある腫瘍部位60のうち28)が100 mm3よりも大きかったことが明らかになった。データ上部の数字は、全潜在的腫瘍部位にわたってサイズ基準を満たす腫瘍の数である。
MMTV-pyV mT腫瘍は、msPMIPに対して差次的な応答を有する。(図5a) 図3に記載した動物の各腫瘍部位(各バーは、1匹のマウス由来の腫瘍部位あたりの1つの乳房脂肪体である)の増殖それぞれを、50μg/g体重のmsPMIP(濃灰色)またはPTD4(薄灰色)で21日間毎日処置した。21日間の処置中、腫瘍の進行を3日ごとに観察した(PTD4、n=60、およびPMIP、n=70)。msPMIP処置腫瘍は、4例(*)で完全に退縮したが、対照(PTD4)処置腫瘍はいずれも退縮しなかった。MFP=乳房脂肪体。(図5b) msPMIP(1、左側2パネル)およびPTD4(2、右側2パネル)で処置したマウスから腫瘍を切除し(3μm)、続いてヘマトキシリン-エオシン染色および切断カスパーゼ-3免疫組織化学に用いた(200×)。
PMIPは、Muc1発現の低下と関連している。(図6a) 代表的なMMTV-pyV mT msPMIP(P)処置マウスおよびPTD4マウス(C)にそれぞれ、屠殺の30分前に上皮増殖因子(1μg/g体重)およびペプチドを注射した。屠殺後に腫瘍を回収し、タンパク質溶解物を作製した。タンパク質(50μg)をSDS-PAGEにより分離し、転写し、リン酸化チロシン(PY99)、EGFR(1005)、Muc1(CT2)、およびβ-アクチン(AC-15)の発現について免疫ブロットした。(図6b) MDA-MD-231異種移植腫瘍(EGF未処置;図2に記載)からの溶解物を同様に解析して、EGFRタンパク質およびMUC1タンパク質の発現レベルを測定した。Muc1の相対的なタンパク質レベルを濃度測定により測定し、グラフにした(Muc1/β-アクチン、ANOVA、*p=0.014)。分子量を右側に示す。IB=免疫ブロット。ブロットを貫く白線は同じゲルおよび曝露を示すが、これらは連続したものではない。]
[0015] 発明の詳細な説明
本発明の基礎をなしている発見は、MUC1模倣ペプチドが、全身投与後に乳腺腫瘍、結腸、および皮膚で選択的に保持されるというものである。さらに、MUC1模倣ペプチドによって腫瘍の発生が減少する。加えて、MUC1模倣ペプチドを、補助状況において、すなわち外科手術後に、他の抗EGFR処置と併用することができる。]
[0016] 任意のタンパク質伝達ドメイン(PTD)を、融合タンパク質中で用いることができる。これらには、以前に同定され、タンパク質伝達に用いられてきたドメインのいずれもが含まれる。例えば、本明細書に明確に組み入れられる、Dietz and Bahr, Molecular and Cellular Neuroscience, 27 (2004) 85-131の詳細な表1を参照されたい。そのようなドメインのいくつかをSEQID NO: 3、4、5、および6に示すが、当業者はこれらの使用に限定されない。合成PTDを含むその他のPTDを用いることができる。これらのドメインにより、細胞による付着ペプチドの取り込みが促進される。]
[0017] 融合タンパク質中で用いるためのスペーサーは、典型的には製造または合成を容易にするために融合タンパク質中で用いられる、付加的なアミノ酸残基である。これらは極めて無害であり得、典型的に0〜5残基長である。リンカーは、単一の(monotonous)残基であっても混合残基であってもよい。残基はランダムであってもよく、あるいは、他のタンパク質から得られた、または例えば物理的、化学的、もしくは生物学的な特定の性質のために設計された配列であってもよい。]
[0018] SEQID NO: 14などのMUC1細胞質ドメインペプチドにより、乳癌細胞の浸潤が増加する。Schroeder, 2003。驚くべきことに、そのようなペプチド内のより短い部分は、実際のところ、逆の効果を及ぼす。これらのペプチドは、SEQ ID NO: 1から選択される連続した6〜15アミノ酸残基を含み、SEQ ID NO: 2に示すアミノ酸配列を含む。活性を最適化するために、たとえば、保存的変化を生じるための1、2、もしくは3残基の置換による、またはアラニンとの置換による、正確な配列からのわずかな逸脱を用いてもよい。保存的変化とは、非荷電極性残基に対して非荷電極性残基、または非極性残基に対して非極性残基、または酸性残基に対して酸性残基など、類似の残基を互いに置換するものである。したがって、GまたはS残基は、G、S、T、C、Y、N、およびQと置換され得る。L残基は、A、V、I、P、F、W、およびMと置換され得る。A、V、およびP残基は、A、V、L、I、P、F、W、およびM残基と置換され得る。YまたはN残基は、G、S、T、C、Y、N、およびQ残基と置換され得る。E残基は、D残基と置換され得る。K残基は、RまたはH残基と置換され得る。その置換によって浸潤および転移を阻害する活性が損なわれることが判明していない限り、任意の残基をアラニン残基と置換することができる。そのような置換ペプチドは、例えば浸潤アッセイ法、腫瘍増殖アッセイ法、腫瘍発生アッセイ法等を用いて、容易に試験することができる。]
[0019] インビトロまたはインビボにおいて、癌細胞を本発明の融合ペプチドと接触させることができ、または癌細胞に該融合ペプチドを供給することができる。融合ペプチドは、ペプチドとして直接供給され得、または、細胞内で融合ペプチドを発現および産生する核酸ベクターを細胞に供給することにより、内因的に産生され得る。インビボ投与については、当技術分野で公知である任意の送達技法を用いることができ、これには直接的腫瘍内注射、筋肉内注射、血管内注射、皮下注射、腹腔内注射等が含まれるが、これらに限定されない。インビトロ送達は、例えば融合ペプチドを培養培地に供給することだけで、達成することができる。]
[0020] 処置することができる癌および癌細胞には、乳房、皮膚、結腸、卵巣、前立腺、子宮頚部、結腸直腸、肺、脳、頭頚部、膵臓、腎臓、および肝臓が含まれる。投与に際して認められる効果は、発生、増殖、浸潤、および転移の範囲の減少または速度の遅延である。これらの過程の測定に適したアッセイ法を実施例に記載する。当技術分野において公知である他のアッセイ法も同じく使用可能である。]
[0021] 融合ペプチドが製剤化または修飾され得ることは、当技術分野で公知である。これは、キャッピング、またはペグ化、またはミセルもしくはリポソームとの併用などの、共有結合的修飾を含み得る。そのような修飾および製剤化により、体内での安定性が増加し得、したがって投入用量のより高い割合が標的癌に到達することが可能になる。融合タンパク質は、EGFR阻害剤を非限定的に含む、他の処置と併用することもできる。処置は同時にまたは連続して施行してよい。癌の治療に適したその他の処置には、化学療法薬の投与または注入、抗腫瘍抗体、抗受容体抗体、放射線治療、放射性標識薬、および外科手術が含まれる。異なる様式で作用する2つのモダリティ(modality)を用いることで、より多くの利点が患者に提供され得る。適切なEGFR阻害剤は、パニツムマブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、およびエルロチニブなどの抗体またはキナーゼ阻害剤であってよい。]
[0022] MUC1とβ-カテニンとの結合に対する類似の阻害効果は、細胞または癌患者に抗体を送達することによって得ることもできる。抗体は、任意の型であってよく、モノクローナルでもポリクローナルでもよく、一本鎖でも複数鎖でもよい。抗体は、宿主哺乳動物において、細胞培養物において、または組換え細胞において作製され得る。抗体は、SEQID NO: 1に含まれるエピトープに結合する。抗体は、例えば免疫原としてSEQ ID NO: 1に記載のペプチドを用いて、または免疫原として本発明に記載の融合タンパク質を用いて、または免疫原として他の融合タンパク質を用いて、産生させることができる。]
[0023] 本発明の融合タンパク質をコードする核酸を送達するためのベクターは、当技術分野で公知である任意のものであってよい。アデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ベクターが周知であり、広く用いられている。ナノ粒子、リポソーム、およびミセルなどの、非ウイルスベクターもまた用いることができる。いくつかの態様では、レトロウイルスベクターを用いることができる。当業者は、自分の目的に適したベクターを選択することができる。同様に当業者は、培養物中で本発明の融合タンパク質を組換え製造するためのベクターおよび宿主細胞系を選択することができる。]
[0024] 癌と関連した遺伝性遺伝子を有すると同定された人は、癌を発症するリスクが高い。そのような人々を処置して、癌発生のリスクを軽減することができる。同様に、原子爆弾の放射性降下物、核燃料廃棄物、およびその他の汚染物質などの環境リスクにさらされた人も、癌を発症するリスクが高い。変異する可能性のある遺伝子およびそれらが引き起こす常染色体優性疾患には、BRCA1:乳癌、BRCA2:乳癌、APC:結腸癌HNPCC:結腸癌、CDKN2:メラノーマが含まれるが、これらに限定されない。その他の常染色体優性遺伝性癌のリスクには、基底細胞母斑症候群、神経線維腫症2型、カーニー症候群、骨軟骨腫症、多発性、脊索腫、家族性、傍神経節腫、家族性、コーデン症候群、ポイツ・ジェガース症候群、胼胝形成(tylosis)を伴う食道癌、前立腺癌、胃癌、家族性、腎癌、家族性、リー・フラウメニ症候群、網膜芽細胞腫、多発性内分泌腫瘍症1型、結節性硬化症、多発性内分泌腫瘍症2型、フォン・ヒッペル・リンドウ病、神経線維腫症1型、およびウィルムス腫瘍が含まれる。癌になる傾向がある常染色体劣性遺伝疾患には、毛細血管拡張性運動失調症、ロートムント・トムソン症候群、ブルーム症候群、色素性乾皮症、ウェルナー症候群、およびファンコニー貧血が含まれる。]
[0025] タンパク質伝達ドメイン(PTD)に連結されたMUC1模倣ペプチド(MIP)は、インビトロにおいて、形質転換細胞に自由に侵入し、それらの浸潤を阻害することができる。この同じペプチドが、例えば同所性移植乳癌モデルにおいて、原発性腫瘍の増殖、腫瘍の拡大、および切除後の腫瘍の再発を阻害することができる。SEQID NO: 17および18などのPMIP模倣ペプチドは循環中で残存することができ、組織特異的に保持され、かつ検出可能な毒性を示すことがない。重要なことに、PMIPは、例えばヒト乳癌を模倣した自然発症マウスモデルにおいて、腫瘍の増殖を有意に阻害することができる。機構的に、この腫瘍阻害効果は、EGFRおよびMUC1の発現低下と密接に関連している。まとめると、これらのデータから、ペプチドに基づくこれらの細胞内薬物は癌に対する非毒性処置として強い効果を示すことが実証される。]
[0026] マウス乳腺におけるヒトMUC1の過剰発現は形質転換を促進し、いくつかのトランスジェニックモデルにおけるMUC1の喪失は、腫瘍の発症を有意に遅延させることができる(6、10、12)。これは、MUC1と相互作用することが実証されている発癌性パートナー、すなわちβ-カテニン、src、およびEGFRの数に起因する可能性がある[(8)に概説されている]。本模倣ペプチドは、MUC1、β-カテニン、およびEGFRの間の相互作用を阻止するように設計されており、本発明者らは、PMIP処理によって、これらのタンパク質とのMUC1の相互作用が阻止されることを実証した。加えて、本発明者らは、特定の条件下でのPMIP処理に応答したMUC1発現の喪失を認めたが、これはEGFRの下方制御の結果である可能性がある。PMIPの存在下においてMUC1およびEGFRが二者択一的に輸送され、リソソーム分解経路に入り、結果としてそれらの分解が増強されると推測したくなる。CMVプロモーター下でMUC1を過剰発現しているMDA-MB-231細胞を培養中に3時間だけPMIP処理すると、MUC1過剰発現の喪失が誘導され、このことは、この効果が転写調節を受けないことを示す(データは示さず)。]
[0027] 1つの重要な知見は、PMIP処置に付随する毒性が無いこと(体重減少、苦痛の徴候、および臓器不全が無いこと)である。内因性ペプチドの使用に伴うこの結果は予期していなかったわけではないが、このことから、患者における毒性レベルが潜在的に低いことが示される。本発明者らはまた、免疫無傷の(immune-intact)MMTV-pyV mTトランスジェニック動物において、PMIPが免疫応答を活性化する可能性を調べた。マーカーとしてCD45のタンパク質レベルを用いて白血球浸潤を調べ、本発明者らは、対照に対して、PMIPで処置した腫瘍中では増加しないことを見出した((37);データは示さず)。加えて、タンパク質伝達ドメインの潜在的アジュバント活性を調べているグループによる研究から、TATタンパク質伝達ドメインに免疫原性がないことが見出された(38)。]
[0028] 本発明者らは最近、MUC1がEGFRのリガンド依存性分解を阻害し、結果として受容体の安定性が高まることを実証した(9)。さらに本発明者らは、この相互作用によってEGFRの発癌特性が促進されることを実証した(10)。これらの実験で用いたマウスモデルはいずれも、進行に関してEGFRに依存することはこれまで示されていなかったが、PMIPは各モデルにおいて有意に効果的である。このことから、PMIPは、大多数の上皮性新生物を包含する、MUC1を過剰発現している腫瘍に対して広い用途を有し得ることが示される(39)。加えて、PMIPは、抗EGFR処置との重要な補助療法として役立ち得る[この目的のために明確に組み入れられる(40)に概説されている]。本発明者らのデータから、MUC1が、EGFRの内部移行、輸送の変化、およびシグナル伝達の増強を誘導することが示される(9)。したがって、PMIPがこれらの相互作用を阻止するのであれば、EGFRの表面局在性に依存する抗EGFR療法は、PMIPの同時送達によって強化され得る。]
[0029] 本発明者らは、癌、特に乳癌における、PTD連結ペプチドに基づく薬物の有効性およびMUC1指向性標的の価値を実証した。重要なことには、これらのデータから、PMIPが、腫瘍進行の全段階で活性を有する:すなわち発生の阻害、増殖の阻害、退縮の誘導、および転移性拡大の阻害を行う強力な薬物であることが示される。]
[0030] 上記開示は本発明を概説するものである。本明細書において開示した参考文献はすべて、参照により明確に組み入れられる。以下の特定の実施例を参照することによって、より完全な理解を得ることができるが、実施例は本明細書において例示のみを目的として提供するものであって、本発明の範囲を限定することを意図していない。]
[0031] 実施例1--方法:
細胞培養
転移性乳癌細胞株MDA-MD-231細胞およびBT20細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから入手した。これらの細胞株は、10%ウシ胎仔血清(Cellgro、バージニア州、ハーンドン)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(Invitrogen、オレゴン州、ユージーン)、およびRPMI1640(Cellgro)培地を用いて、加湿インキュベーター中、37℃、5% CO2で培養した。]
[0032] 浸潤アッセイ法
コラーゲン基質(0.9 mg/mlI型ラット尾部コラーゲン(BD Biosciences、マサチューセッツ州、ビレリカ)、83.0% (v/v) M-199培地(Life Technologies)、および0.18% NaHCO3(Fisher、ニューハンプシャー州、ハンプトン))を、24ウェルプレートに注入した。コラーゲン重合に先立ち、0.8μm孔トランスウェル挿入物(Corning Inc.、ニューヨーク州、コーニング)を基質の上に置いた。化学誘引物質(100 ng/mL EGFを添加した20% FBS/RPMI1640)を用いて、重合したコラーゲンを再水和させた。MDA-MB-231細胞を、無血清RPMI 1640培地中の50μMペプチドで17時間処理した。細胞をトランスウェル挿入物上に負荷する前に、それらをカルセイン-AM(Invitrogen)で30分間蛍光標識し、次いでPBSで洗浄した。次に細胞を50μMペプチド/RPMI 1640無血清培地で再懸濁し、各ウェル中の挿入物上に負荷した(細胞266,000個/ウェル)。加湿インキュベーター中、37℃、5% CO2で12時間、細胞を基質中に浸潤させた。12時間後、コラーゲン基質を40% FBS/PBS中の0.25%コラゲナーゼで処理し、挿入物を除去した(Calbiochem、カリフォルニア州、サンディエゴ)。コラーゲン中に浸潤した蛍光標識細胞の数を、Molecular Devices分光光度計を用いて測定した(Ex:485、Em:538、およびカットオフ:530)。]
[0033] 免疫沈降および免疫ブロッティング
タンパク質は(9)に記載の通りに処理した。]
[0034] 濃度測定
免疫ブロッティング解析は(9)と同様に行った。]
[0035] 抗体および増殖因子
CT2(抗MUC1細胞質尾部)は、Neomarkers Inc.(カリフォルニア州、フレモント)から購入した。リン酸化チロシン(PY99)およびEGFR/erbB1(1005)に対する抗体は、すべてSanta Cruz Biotechnologies(カリフォルニア州、サンタクルーズ)から購入した。β-アクチン抗体は、Sigma Chemical Company(ミズーリ州、セントルイス)から得た。HRP結合二次抗体はMolecular Probes(Invitrogen)から入手し、抗ハムスターHRP結合抗体はJackson Labs(ペンシルベニア州、ウェストグローブ)から購入した。上皮増殖因子(EGF)は、100 ng/μlの濃度で-20℃で保存した(Invitrogen)。]
[0036] 免疫蛍光法
BT20細胞を、FITCでタグ付けした200μM hPMIPで2時間処理し、4%パラホルムアルデヒド/PBSで固定した。固定された細胞を0.02% NaN3/PBSで3回洗浄し、DAPIが添加されたSlowfade Gold抗退色試薬(Invitrogen)と共にインキュベートした。細胞を蛍光DMLB Leica複合顕微鏡で可視化した。]
[0037] ペプチド合成
hPMIP(SEQID NO: 17)、FITC-hPMIP、msPMIP(SEQ ID NO: 18)、FITC-msPMIP、およびPTD4ポリペプチド(SEQ ID NO: 16)はGenScript(ニュージャージー州、スコッチプレーン)によって合成され、凍結乾燥して納品された。ペプチドをPBS中に500μMの濃度で再懸濁し、単回使用の一定分量で-80℃にて保存した。]
[0038] ヒト乳房腫瘍異種移植
免疫無防備状態の(scid)マウス(Taconic、メリーランド州、ロックビル)を血清IgGの有無について試験したところ、<20μg/ml IgGであることが判明した。雌マウス(4〜6週齢)の乳房脂肪体に、マトリゲル(BD Biosciences)中に包埋された細胞1×107個を注射し、式a2×b/2(式中、aは小さい方の直径であり、bは大きい方の直径である)に基づいて、100 mm3または500 mm3のいずれかになるまで増殖させた。マウスの腹腔内に、50μg/g体重のPMIPまたはPTD4対照ペプチドのいずれかを21日間注射し、2日ごとにノギスで測定した。21日後、または腫瘍が800 mm3に到達した後のいずれかにおいて、切除の少なくとも1時間前にマウスにブプレノルフィン(2.5 mg/kg体重、Infusion Solutions、ニュージャージー州、トトワ)を注射し、マウスにイソフルラン(Abbott、イリノイ州、アボットパーク)で麻酔をかけることにより、腫瘍を切除した。外科手術に続いて、術後8時間および16時間の時点で、マウスをブプレノルフィン(2.5 mg/kg体重)で処置した。次に動物を10日間追跡して、原発腫瘍部位または二次乳腺における再増殖を調べ、その後屠殺した。]
[0039] トランスジェニックマウス
(Jackson Laboratories)から入手したMMTV-pyV mTマウス(33)は、少なくとも直径1箇所において≧0.5 cmと測定される腫瘍が発生した時点で、研究に登録した。7週齢を超えるマウスのみを研究に含め、液体嚢胞を発生したマウスは除外した。動物の腹腔内に、50μg/g体重のmsPMIPまたはPTD4を1日に1回、21日間注射した。乳腺10箇所をそれぞれノギスを用いて2日ごとに測定し、測定値を用いて、式a2×b/2(式中、aは短径であり、bは長径である)に基づき腫瘍容積を決定した。21日間の処置後、マウスをCO2吸入により屠殺し、組織を切除した。複数のmsPMIP処置マウスには、屠殺の1時間または4時間前に、FITC-msPMIP(50μg/g体重)を注射し、無傷の組織を蛍光MZFLIII Leica解剖顕微鏡を用いて可視化した。]
[0040] 異種移植およびトランスジェニックマウスの研究はいずれも、アリゾナ大学の施設内動物実験委員会により認可されたプロトコールの下で、Experimental Mouse Shared Services(アリゾナ大学、ツーソン)によって行われた。]
[0041] 統計解析
統計はすべてExcel(Microsoft)で行った。]
[0042] 実施例2--
PMIPは細胞内に保持され、EGFRリン酸化を減少させ、MUC1とβ-カテニンの相互作用を阻害する
MUC1細胞質ドメインは72アミノ酸から構成され、その中にEGFRリン酸化部位(ヒト=YEKV、およびマウス=YEEV)、およびβ-カテニン結合部位(ヒト=SAGNGGSSLS(SEQID NO: 9)、およびマウス=SAGNGSSSLS(SEQ ID NO: 19)、図1a)を含む15アミノ酸ドメインが存在する(11、29)。本発明者らは15アミノ酸ペプチドを合成し、これがドミナントネガティブ様式で作用して内因性MUC1とEGFR/β-カテニン/srcとの間の相互作用を阻止し得るかどうかを判定した。このペプチドが細胞に侵入するのを可能にするために、本発明者らは、これをタンパク質伝達ドメイン[PTD4、図1a(30)、(31)に概説されている]と共にタンデムで合成した。FITCで標識したMIPペプチド(FITC-hPMIP)が結合したPTD4でインビトロにおいてパルスした細胞は、蛍光ペプチドを含むことが判明し、それは長時間保持された(図1b)。]
[0043] β-カテニンとMUC1との相互作用は転移の進行中に増大するため、本発明者らは次に、BT20細胞株においてこれらの相互作用に対するhPMIP処理のインビトロにおける効果を調べた(12、32)。]
[0044] 実施例3--
PMIPは浸潤を阻害する
これらの細胞は、それぞれMUC1の高発現および低発現のモデルに相当するため、選択された(データは示さず)。本発明者らは、PMIP処理により、対照ペプチド(PTD4)またはPBSで処理した細胞と比較した場合に、細胞が8.0μMフィルターを通してI型コラーゲン基質中へと浸潤する能力が有意に阻害されることを見出した(図1cおよびd)。hPMIPが増殖および/またはアポトーシスにも影響を及ぼし得るかどうかを判定するため、本発明者らは、ヒト乳癌細胞株MDA-MB-231に対してアネキシンVおよび細胞数定量を行った。細胞をプラスチック上で培養した場合に、hPMIP処理は、アポトーシスに対しても細胞増殖に対しても検出可能な影響を及ぼさないことが、認められた(データは示さず)。]
[0045] 実施例4--
PMIPは、異種移植乳癌モデルにおいて腫瘍増殖を阻害しかつ再発を阻害する
hPMIPはインビトロで細胞浸潤を強力に阻害したため、本発明者らは次に、hPMIPがインビボで腫瘍の再発および転移を抑制する能力を評価した。本発明者らは、hPMIPが、重篤な複合免疫不全(scid)マウスの乳房脂肪体に移植されたMDA-MB-231乳癌細胞の転移能を変化させ得るかどうかを調べた。本発明者らは、hPMIPによる処置が、原発腫瘍切除後の腫瘍の再増殖および二次乳腺への拡大の実質的な阻害をもたらすことを見出した(図2bおよび2e)。加えて、本発明者らは、hPMIP処置が原発腫瘍の増殖も遅延させることを見出した(図2c)。]
[0046] 第1の実験(図2aおよび2b)では、細胞に大きな腫瘍塊(500 mm3)を確立させ、マウスにhPMIPまたは対照ペプチド(PTD4)を21日間(腹腔内)注射した(図2a)。処置の終了時に、原発乳房腫瘍を切除し、動物を追跡して、腫瘍の再増殖および/または二次乳腺への転移の割合を調べた。再増殖および二次乳腺腫瘍は両処置群で同数であることが判明したが、対照処置動物の腫瘍体積は平均760 mm3であるのに対して、PMIP処置動物ではわずかに平均73 mm3であった(図2b)。再増殖を追跡した10日間の間、マウスは薬物で処置されていないことに留意されたい。本発明者らはまた、対照と比較したhPMIP処置動物における腫瘍サイズの低下にも注目し、次に、hPMIPがこのモデルにおいて腫瘍増殖速度に影響を及ぼしているかどうかの判定を可能にしうる実験を設計した。]
[0047] hPMIPが原発腫瘍の増殖に与える潜在的効果を測定するため、本発明者らは、MDA-MB-231異種移植実験(21日間の薬物処置)を繰り返したが、より小さな腫瘍サイズ(100 mm3)で処置を開始した(図2c〜2e)。本発明者らは、21日間の薬物処置後に腫瘍増殖を続けさせ、原発腫瘍が体積800 mm3に到達した時点でその外科的切除を行い、それにより本実験において腫瘍の拡大を評価することが可能になった(図2d)。hPMIPで処置することにより、対照処置動物と比較して、腫瘍サイズが有意に減少した(図2c、p=0.028)。このことは、hPMIP処置マウスが切除サイズ800 mm3に到達するのに要した期間が有意に延長したことと一致した(図2d、p=0.03)。処置は切除のおよそ20日前に終了していたが、本発明者らは、hPMIP処置により、切除10日後の腫瘍の再増殖量および拡大量が実質的に減少したことを認めた(図2e)。まとめると、これらのデータから、hPMIP処置により、高転移性乳癌モデルにおいて腫瘍の増殖、拡大、および再発が阻害され得ることが実証された。]
[0048] 実施例5
PMIPは、自然発症乳癌において腫瘍の増殖を阻害しかつ退縮を誘導する
異種移植モデルにより、確立された細胞株の増殖および進行に対するhPMIP処置の効果が実証されたが、本発明者らは、ヒト乳癌をより再現しているマウスモデルにおいてmsPMIPがどの程度腫瘍の発生および進行に影響を及ぼすかを測定することを望んだ。乳癌のMMTV-pyV mTトランスジェニックマウスモデルは、AKT、src、およびshcを含む複数のシグナル伝達系路を活性化することにより、ヒト乳癌に非常に類似している(33、34)。得られた乳癌が、インサイチューにおける過形成の完全な進行、腺管癌、およびヒト疾患において認められる腺癌を病理学的かつ分子的に模倣することが、研究から実証された(35、36)。ペプチドがこれらの動物の乳腺および腫瘍に送達され得るかどうかを判定するため、本発明者はFITC標識msPMIPを注射し、ペプチド保持を解析した(図3a)。注射後1時間の時点で、FITCは、全器官を含む動物の体腔の至る所に検出された(データは示さず)。4時間後、FITC-msPMIPは、乳腺腫瘍ならびに結腸および皮膚において選択的に保持されていることが認められた(図3a、およびデータは示さず)。]
[0049] 自然発症乳癌の進行に対するmsPMIPの効果を測定するため、直径≧0.5 cmの乳腺腫瘍を有するMMTV-pyV mTマウスを、msPMIPまたはPTD4対照ペプチドのいずれかで21日間処置した。msPMIPは、21日間の処置を通じて総腫瘍増殖をおよそ590%からおよそ194%まで有意に遅延させたため、処置は腫瘍の増殖に対して劇的な効果を及ぼした(p=0.039;図3b)。加えて、msPMIP処置により、対照(PTD4)処置腫瘍における69 mm3/日と比較して、腫瘍の増殖速度がわずか25 mm3/日にまで有意に低下した(p=0.007;図3c)。(msPMIPとは対照的に)hPMIPによってMMTV-pyV mTマウスを処置することは腫瘍の増殖に影響を与えず、これによりPMIPのアミノ酸特異性が強調されることに留意されたい。]
[0050] 本発明者らは次に、研究を通じて生じた腫瘍の全体的なサイズを解析した。この解析から、対照(PTD4)群における腫瘍の13%が研究の終了時までに500 mm3よりも大きく増殖したのに対して、msPMIP処置群では腫瘍のわずか1%しかそのサイズに到達しなかったことが実証される(図3d)。このトランスジェニックモデルは、研究期間を通して、腫瘍形成を駆動するポリオーマミドルT導入遺伝子を継続的に発現していたため、本発明者らは次に、新規腫瘍の形成に対する薬物処置の効果を調べた。msPMIP群および対照(PTD4)群はいずれも、処置の開始時点で100〜300 mm3のサイズの腫瘍をほぼ同数有していたが、対照群では処置の終了時までにこの数は倍になり、一方msPMIP群では同数のままであった(図3d)。これらのデータから、msPMIP処置により、このモデルにおいて腫瘍の発生が阻害されることが示される。腫瘍の発生をさらに解析するため、本発明者らは、薬物処置中に発生した腫瘍の割合を評価した(発生とは、0 mm3から100 mm3への腫瘍の移行の割合と同等である)。この解析から、msPMIP群では、研究中に腫瘍の発生が有意に減少した(p=0.0045;図3e)ことが実証される。]
[0051] 腫瘍を有するMMTV-pyV mTマウスをmsPMIPによって処置すると、腫瘍の形成および増殖における非常に著しい減少が認められたが、研究におけるすべての腫瘍が処置に応答したわけではなかった(図4)。各乳腺を解析したところ、大部分の腫瘍の増殖速度はmsPMIPに応答して実質的に遅延したが、いくつかの腫瘍は増殖し続け、このことは、このモデルにおける確率論的な経路活性化を示している。重要なことに、msPMIPで処置した腫瘍確立例の部分集団(腫瘍4例)は処置下で完全に退縮したが、対照処置腫瘍はいずれも退縮しなかった(図4、*)。]
[0052] 実施例6--
msPMIP処置により、EGFRレベルおよびMuc1レベルの低下が起こる
本発明者らは以前、MUC1発現によってEGFRのリガンド依存性分解が阻害されることを認めたが、一方、他の研究者らは、SAGNGGSSLS配列によってMUC1/β-カテニン相互作用が促進されることを実証した(9、11)。msPMIPがEGFRのEGF依存性分解に影響を及ぼすかどうかを判定するため、本発明者らは、(標準的な21日間の薬物処置後の)動物屠殺の30分前にEGFおよびペプチドを注射したMMTV-pyV mT動物の腫瘍から、タンパク質溶解物を作製した。本発明者らは、対照処置動物と比較してmsPMIP処置マウスにおいて、EGFRの発現および対応するリン酸化の著しい減少を認めた(図5a)。対照処置動物からは400 mm3を超える腫瘍が6例得られたのに対して、このマウスでは、21日間のmsPMIP処置後には明白な腫瘍が残存していなかったことに留意されたい。]
[0053] msPMIPがMuc1とβ-カテニンとの間の相互作用を阻止するかどうかを判定するため、本発明者らはまず、腫瘍溶解物におけるMuc1タンパク質発現のレベルを証明した。興味深いことに、msPMIP処置により、MMTV-pyV mTモデル(図5aおよび5b)およびMDA-MB-231異種移植モデル(図5cおよび5d)の両方において、Muc1タンパク質発現の喪失が誘導されることを、本発明者らは見出した。この喪失の機構は不明であるが、これによってMuc1依存性の発癌シグナル伝達の喪失が確実に起こると考えられる。]
実施例

[0054] 参考文献
引用した各参考文献の開示は、本明細書に明確に組み入れられる。]
权利要求:

請求項1
以下の段階を含む、癌リスクの上昇が確認されたヒトを処置する方法:構造A-B-CまたはC-B-Aを有する融合ペプチドを、癌リスクの上昇が確認されたヒトに投与する段階であって、それにより該癌発生の確率が低下する段階であり、式中、Aは、細胞膜を介した付着高分子の移行を増強するタンパク質伝達ドメインであり;Bは0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;Cは6〜15アミノ酸残基のポリペプチドであり、Cはのすべてもしくは一部を含み、かつCの一部はGGSSLS(SEQID NO: 2)を含み、あるいは、該6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つは、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、または非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、または酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されているか、あるいは該6〜15アミノ酸残基の1つはA残基と置換されている。
請求項2
確認されたリスク上昇が遺伝的素因に起因する、請求項1記載の方法。
請求項3
確認されたリスク上昇が環境被爆に起因する、請求項1記載の方法。
請求項4
確認されたリスク上昇が職業被爆に起因する、請求項1記載の方法。
請求項5
上記ヒトが、乳癌に対する遺伝的素因に起因して上昇したリスクを有する、請求項1記載の方法。
請求項6
上記ヒトが、結腸癌に対する遺伝的素因に起因して上昇したリスクを有する、請求項1記載の方法。
請求項7
上記ヒトが、皮膚癌に対する遺伝的素因に起因して上昇したリスクを有する、請求項1記載の方法。
請求項8
上記6〜15アミノ酸残基の1〜3つが保存的に置換されている、請求項1記載の方法。
請求項9
Cが6〜15アミノ酸残基のポリペプチドであり、Cがのすべてまたは一部を含み、かつCの一部がGGSSLS(SEQID NO: 2)を含む、請求項1記載の方法。
請求項10
上記6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つが、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、または非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、または酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されている、請求項1記載の方法。
請求項11
上記6〜15アミノ酸残基の1つがA残基と置換されている、請求項1記載の方法。
請求項12
以下の段階を含む、腫瘍を切除したヒトを処置する方法:構造A-B-CまたはC-B-Aを有する融合ペプチドおよびEGFR阻害剤を、腫瘍を切除したヒトに投与する段階であって、それにより該腫瘍の再発または転移の確率が低下する段階であり、式中、Aは、細胞膜を介した付着高分子の移行を増強するタンパク質伝達ドメインであり;Bは0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;Cは6〜15アミノ酸残基のポリペプチドであり、Cはのすべてもしくは一部を含み、かつCの一部はGGSSLS(SEQID NO: 2)を含み、あるいは該6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つは、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、または非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、または酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されているか、あるいは該6〜15アミノ酸残基の1つはA残基と置換されている。
請求項13
上記6〜15アミノ酸残基の1〜3つが保存的に置換されている、請求項12記載の方法。
請求項14
EGFR阻害剤がパニツムマブである、請求項12記載の方法。
請求項15
EGFR阻害剤がセツキシマブである、請求項12記載の方法。
請求項16
EGFR阻害剤がゲフィチニブである、請求項12記載の方法。
請求項17
EGFR阻害剤がエルロチニブである、請求項12記載の方法。
請求項18
Cが6〜15アミノ酸残基のポリペプチドであり、Cがのすべてまたは一部を含み、かつCの一部がGGSSLS(SEQID NO: 2)を含む、請求項12記載の方法。
請求項19
上記6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つが、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、または非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、または酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されている、請求項12記載の方法。
請求項20
上記6〜15アミノ酸残基の1つがA残基と置換されている、請求項12記載の方法。
請求項21
以下の段階を含む、結腸癌または皮膚癌の患者を処置する方法:構造A-B-CまたはC-B-Aを有する融合ペプチドを結腸癌または皮膚癌の患者に投与する段階であって、それにより該癌の侵襲性が低下または遅延する段階であり、式中、Aは、細胞膜を介した付着高分子の移行を増強するタンパク質伝達ドメインであり;Bは0〜5アミノ酸残基のスペーサーであり;Cは6〜15アミノ酸残基のポリペプチドであり、Cはのすべてもしくは一部を含み、かつCの一部はGGSSLS(SEQID NO: 2)を含み、あるいは該6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つは、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、または非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、または酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されているか、あるいは該6〜15アミノ酸残基の1つはA残基と置換されている。
請求項22
患者が結腸癌を有する、請求項21記載の方法。
請求項23
患者が皮膚癌を有する、請求項21記載の方法。
請求項24
上記6〜15アミノ酸残基の1〜3つが保存的に置換されている、請求項21記載の方法。
請求項25
Cが6〜15アミノ酸残基のポリペプチドであり、Cがのすべてまたは一部を含み、かつCの一部がGGSSLS(SEQID NO: 2)を含む、請求項21記載の方法。
請求項26
上記6〜15アミノ酸残基の少なくとも1つが、非荷電極性アミノ酸が非荷電極性アミノ酸と置き換わるように、または非極性アミノ酸が非極性アミノ酸残基と置き換わるように、または酸性アミノ酸が酸性アミノ酸と置き換わるように保存的に置換されている、請求項21記載の方法。
請求項27
上記6〜15アミノ酸残基の1つがA残基と置換されている、請求項21記載の方法。
类似技术:
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引用文献:
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